これまで、150年続き、5番街にあるおもちゃのFAOシュワルツが、2015年に閉店。そして、ニューヨーク発祥のデパートでもあるバーニーズニューヨークも、今年の2月に街から完全に消えてしまった。

そして、今年は、パンデミックを受け、ニューヨークの顔だった5つ星ホテル「プラザホテル」も扉を未だ閉じたまま。これまで賑やかだった、マジソンアヴェニューの高級ブランドストリートも、かつて1万ドルの服が飾られていたショーウィンドウが、ベニア板で窓や入り口を塞ぐ滑稽な姿に。そして、先月は老舗ルーズベルトホテルは廃業となり100年の歴史に幕を閉じました。

ここ10年の間に、いわゆるニューヨークのランドマークであった存在が、変わりつつあります。観光客だけではなくニューヨーカーにも親しまれていた場所が次々と閉店し悲しい気持ちです。たくさんの思い出を与えてくれた彼らにオマージュとして、街から消えていったあのブランドやストアを振り返ってみました。

 

123年間続いたニューヨーク発祥のバックブランド「ヘンリーベンデル」

店内も素敵でいるだけで楽しくなるような、そんなニューヨークのイメージも強く、ゴシップガールでもロケ地としても使われていました。その5番街に直営店は、いつでも買い物客が賑わっていましたよね。白と茶のストライプのデザインが特徴で、旅行バックから小物入れまで揃い、お手頃な価格。特に、エコバックやソフトバックは、店頭でイニシャルを入れてくれるのが、特別なプレゼントやお土産にも最適でした。

しかし、それとは裏腹にブランドの売り上げは低迷。ビクトリアシークレットなどファッションブランドを持つ「L Brands」グループの傘下でもありましたが、2019年1月、このブランドのみ廃業、全店閉店することとなってしまいました。

NYブランド「ヘンリ・ベンデル」123年の長い歴史に終止符

 

1度は乗ってみたかったタイムズスクエアの観覧車「トイザらス」

タイムズスクエアのど真ん中に位置し存在感を放っていた、「トイザらス」のタイムズスクエア店。

2001年にオープンし、14年間続いてきましたが、家賃が高騰したため、2015年12月30日を最後に閉店を余儀なくされました。ここの目玉は、なんと、入り口の吹き抜け、ビルの天井まである、60フィート(18m)の大きな観覧車。また、等身大の動くテラノザウルスも出迎えてくれ、子供達だけでなく大人にも人気でいつも人だかりでした。

私も待ち合わせにはトイザらスが決まり文句で、ここでおもちゃをどれだけ買っていたことか。

しかし、家賃が高いニューヨーク。それをカバーするだけの売り上げを作るのは大変なこと。この地区の家賃はというと、閉店当時で、1平方メートルで、1階2500ドル、2階350ドル、地下150ドル。この店舗は21,000スクエアフィート(1950平方メートル)もあるので、おそらく家賃が約2億〜4億円。

実は、オープン当初の家賃の目算よりも、実際の家賃が200%も上がり、さらに業績も低下したのが原因のよう。

この基盤店でもあったタイムズスクエアのトイザらスは閉店後、見つかれば次の店舗に移動する意向を、当時は表明していました。

しかし結局、トイザらス本社は、オンラインなどの大手通販企業の攻勢に押され業績が低下、債務が悪化し、2017年に破産を裁判所に申し入れることになりました。そして、買手も見つからず。次々閉店に追い込まれる中、創業者のチャールズ・ラザラスが94歳で死去。

2018年6月、すべての店舗が閉店となり、1948年から70年続いた「トイザらス」が幕を閉じました。

それでも、このタイムズスクエアのトイザらスの思い出は、誰もが皆忘れないで残っていることでしょう。

 

しかし、

 

やっぱり、トイザらスは、それだけでは終わらなかった!

そんな同じ気持ちを抱え、33年間トイザらスで働いた元社員が

「このトイザらスという馴染みの名前で、子どもたちにこれからもおもちゃを届けたい」という思いから、

2019年1月新会社を作り、「トイザらス」のブランドを引き継いで復活させました。

その人の名は、リチャード・バリー(Richard Barry)

「トゥルー・キッズ(Tru Kids Brands)」のCEO兼社長で、2019年に同企業を立ち上げ、33年間働いたトイザらスでは、グローバル・チーフ・マーチャンダイジング・オフィサー(最高マーチャンダイジング責任者)の経歴を持っています。

トイザらスの倒産で、当時、3万1000人の従業員が失業していました。

その数字には到底満たないものの、「トゥルー・キッズ」の社員には、元トイザらスの従業員が起用されるなど、トイザらスを愛してる彼らで、ブランドを守っています。

実際に、トイザらスは、2018年に店舗展開で負債が及んだものの、Eコマース事業では世界で30億ドル(約3300億円)の売り上げもあり、ブランド力は根強い。

2020年現在、新「トイザらス」は、体験型スペースとしてニュージャージー州とテキサス州の2店舗を構えています。https://www.toysrus.com/

これから、トイザらスの復活快進劇が見れるかもしれませんね。

 

 

セレブお気に入り最新気鋭のブランドだった バーニーズニューヨーク

1923年にバーニー・プレスマンが、マンハッタン17丁目に、男性用スーツを販売したのがスタート。それから97年にわたり、ニューヨークの無名デザーナーを発掘したり、最新鋭のデザイナーズブランドを中心に、ニューヨーク初のブランドとして親しまれた「バーニーズニューヨーク(Barneys New York)」

日本でも伊勢丹と契約するなど、世界でそのブランドが親しまれていました。93年にはマジソン・アベニューで大型店舗を構え、富裕層の顧客を確保。

しかし、その後経営が悪化し、1996年破産申請し倒産。2004年、米ジョーンズ・アパレル(Jones Apparel)グループが約4億ドルで買収するも、2007年8月8日ドバイ政府の投資会社が9億4230万ドルで売却。実はこの時に、あのユニクロの会社ファーストリテーリング」も買収に名乗りを上げていましたが落札できず、その後願いもむなしく、2020「年2月全ての店舗が閉店、97年の歴史に幕を下ろしました。

しかし、

バーニーズニューヨークという名前だけは、消えなかった!

Authentic Brands Group(ABG)が名称のみを買収。売却額は約2億7,100万ドル(約300億円)。

ABGは、Nautica(ノーティカ)、Nine West(ナイン・ウェスト)などカジュアルなブランドを50個ほど展開し、全世界に4900店以上構えている企業。

今回、バーニーズニューヨークのブランドを、マンハッタンに店舗を構える高級デパート「サクスフィフスアベニュー」がライセンス(ブランド使用権)契約するなどしtねデパードで展開させることに。名前だけでも引き継がれ再スタートができたようです。

 

 

ニューヨークの象徴的、映画の舞台に使われた「FAOシュワルツ」

1862年創業のアメリカ最古の老舗玩具店の「FAOシュワルツFAOSchwarz)」。メリーランド州ボルチモアで開店し、その後1970年にニューヨークにて展開。五番街にある基盤店は、ニューヨークの観光スポットと言えるほど多くの人々で賑わっていました。

1988年のトムハンクス主演の大ヒット映画「ビッグ」で、大きなピアノの鍵盤でダンスをするシーンにも使われ話題に。

1992年のヒット映画「ホームアローン2」でも舞台に。

1995年ウディ・アレンの 「誘惑のアフロディーテ」にも登場。

2010年「トイストーリー3」にもFAOシュワルツを湾曲的に表現しています。

おもちゃ店といえば、あのFAOシュワルツというほど大きな存在だったのですが、

2003年に破産申請が行われ、2009年にトイザらスが買収。

しかし、その親会社であるトイザらスが経営危機に追い込まれ、2015年に、五番街にあった基盤店も惜しまれつつ閉店。トイザらス自体も2018年に倒産となっています。

2016年に「ThreeSixty Group」に買収され、

2018年11月にロックフェラープラザ30に再オープン。

売り場面積は約2万平方フィートがあり、おもちゃブランドから、これまで通り店で体験できるおもちゃなど、かつてのFAOシュワルツが蘇っています。

2019年には、北京、ロンドン、ダブリンにオープン。世界に向けて再出発しました。

ThreeSixty Groupは、7万店以上の小売店や米国の主要小売業者に下ろしている販売業者です。

共同創設者カーク・マクリーンとヨハン・クラプは、

「150年間にわたり、シュワルツは子供他f地に魔法のような体験を提供してきました。私たちはこれらを素晴らしい革新的な体験を作り、伝統を守っていきたい。

私たちはこのブランドに多額の投資を行っており、FAOシュワルツの伝統的な経験と郷愁に基づいて構築する絶好の機会があると信じています。」と述べ、同時に多額に投資もしている伝え、ブランドに対しての自信と意欲が伺えます。

何世代にもわたる子供たちの思い出が、また次世代に同じように引き継がれていってくれるでしょう。

 

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erika.sawae@gmail.com

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