史上最大の詐欺と言われた「マドフ事件がある。
マドフは大富豪やセレブ、ハリウッドスターをも騙し、ポンジー詐欺(ポンジースキーム=ネズミ講)
を働き、投資と偽り騙しとった額が、
なんと 650億ドル(およそ6兆5千億円)とまで言われていました。
彼は、元ナスダック会長でもあり、金融業界で名の知れるこの男に、誰もが信じてしまった。
およそ30年以上にわたり行っていた大詐欺。
それはどんな手口で、なぜ、みんな騙されてしまったのか。
1938年ニューヨーク生まれ。
祖父母は東欧から移民してきたユダヤ人であったが、マドフの幼い頃は、
決して裕福な環境ではなく育てられました。学生時代は、法律家を目指して勉強するも、
次第に金融に興味を持ち始め、大学を卒業すると、
バーナード・L・マドフ・インヴェストメント・セキュリティーズLLC
(バーナード・マドフ証券投資会社 Bernard L. Madoff Investment Securities LLC)
を設立。投資ビジネスに参入します。
アメリカ経済においては、すでに多くのユダヤ人が金融界や、ビジネス界で君臨し、アメリカ経済を牽引するものも多くいました。
例えば、
・18世紀のヨーローパで銀行業を拡大させたロスチャイルド家。
・1850年創業のリーマン・ブラザース創設者のヘンリー・リーマン。
・1869年設立したゴールドマンサックスの創設者マーカス・ゴールドマン。1850年代アメリカの鉱山王として知られるグッケンハイム家
少し近年で言うと、
・天才投資家と言われたジョージ・ソロス
・マクドナルド創設者のレイ・クロック
・ブルンバーグの創設者で、ニューヨーク市長を務めたマイケル・ブルーンバーグ氏
そして、IT界においても、
・グーグル創設者のラリー・ペイジ
・フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏
もユダヤ人である。
また、経済とは関係ありませんが、アインシュタインもユダヤ人です。
さて、こう言ったユダヤ人の成功者や大富豪を信頼させ騙したマドフ。
その被害者たちもまた、ユダヤ人も多く、その顔ぶれも凄かった。
窓ふに騙され投資したセレブ達
・映画監督のスティーブン・スピルバーグ
・ブロードキャスターのラリーキング
・俳優のケビン・べーコン
・俳優・映画プロデューサーのジョンマルコ・ビッチ
・メッツの元オーナーのフレッド・ウィルポン
・ジェネナルモーターズ金融部門の会長のエズラ・マーキン
・フィラデルフィア・イーグルズ(アメフト)元オーナーのノルマン・ブラマン
・スイスの名家であるウォルター・ノエル 69億ドル(6900億円)
個人だけでなく同じ金融界や教育機関からも
・ロレアル創設者らが投資したファンドAIAから1300億円
・サンタンデール銀行(スペイン) 2600億円
・オーストリアのバンクメヂチ 1900億円
・オランダフォーティス 1200億年
・BNPパリバ銀行(フランス)
・HSBC(イギリス)10億ドル
・ロイヤルバンクオブスコットランド
・ニューヨーク大学、IOC、
・欧州の王室関係者
他に、基金を持つ団体なども、運用すたためマドフに基金を預けていました。
なんと日本の金融機関も
・野村証券ホールディングス275億円
・あおぞら銀行124億円、
・住友生命20億円
・MUFG10億円
・三井住友生命
・明治安田生命なども。
マドフに騙された被害の総額は、500億ドル(約5兆円)〜600億ドル(約6兆円)に及ぶのではと言われています。
マドフは、投資かから集めた金を、実際には運用せず、投資家に支払う利益配当を、新しい顧客から集めた資金で支払っていました。いわゆる自転車操業的に資金を回していたポンジ詐欺。
平均して12〜20%と高配当を唄い、長年にわたりタコ配当を行っていました。
実は、そのマドフ自身も、詐欺にあった経験がある
1970年代に、ジャック・ディックから6万ドル(約600万円)の詐欺にあったマドフ。
このジェックが行った、架空の取引報告書や偽造文書などのスキームを、
なんとマドフは、自身の詐欺に取り入れていったのです。
高配当なんて、リスクも高いはず。
数十億、数千億まで預けるなんて、マドフにどんな力があったのか。
人を心酔させる要因があったようです。
①ナスダック会長だったという肩書きで信頼度アップ
②セレブ御用達のゴルフメンバーなる
ゴルフ場も人脈を作る舞台として利用していた。セレブが利用する入会金1000万円は、
する3つのゴルフ場のメンバーになり、マドフ自身をブランディング化していった。
③セレブをも憧れるカントリークラブの会員になる
マドフの長年の目標でもあった成功者たちが利用する高級クラブ
「パームビーチカントリークラブ」のメンバーになることができた。このクラブは推薦がなければ、
入会できず、メンバーには、ドナルド・トランプ、マクドナルドのレイ・クロックや、
ケネディ一族など、錚々たる人たちばかり。
マドフもメンバーに入ることができ、これで一流の仲間入りとなります。
これらで社交を気づいていき、大富豪や金持ちたちの誰もが、
マドフは本物であると騙されていったのです。
そして次第に、マドフの会社は、富裕層社会の「選ばれたもの」しか入会できないとまで
ブランディング化され、客の方から投資したいと言っても
わざと断るふりをするなど、投資家たちに、マドフに投資したい、
お願いしたいとまで心酔させていきました。
これまで30年にわたり、詐欺を行っていたにもかかわらず、逮捕されることもなかったマドフ。
誰もが、マドフ投資の一流プロで、成功者だと疑わなかった。
しかし、マドフの詐欺行為に、「これはキナ臭いぞ」と、いち早く気付いた人物がいました。
その人は、
ハリー・マルコポロス
金融の不正調査員であるハリーは、マドフの投資会社が、
欧州の銀行から借り入れをしようとした情報を入手しました。
マドフは、本当は資金不足で実は金が回っていない兆候では?と疑いました。
そして、マドフの会社の資料を読むとすぐに、これはポンジスキームと確信、
早い段階でSECに報告していました。
これを受け、2005年SECもマドフの会社を調査。
しかし、SECでさえも、マドフを信頼していたのか、簡素な調査で済ませ、詐欺の証拠はないと、
それ以上捜査をしませんでした。
ところが、
2008年、アメリカ経済がサブプライムローン危機に陥り、リーマンショックに。
株価が下落し、投資家から次々に、マドフに投資した資金の引き上げを要求してきました。
その額が、70億ドル(約7000億円)。
この巨額の返金請求には、
マドフにも太刀打ちできず、マドフ自身も、もはや観念せざるおえなかった。
マドフは、ことのすべてを、2人の息子マークとアンドリューに打ち明けます。
息子たちは、大学卒業後、父親の会社で働くも、父親に真実を告白されるまで、
詐欺であることは全く知らなかったようである。
そして、息子たちから報告を受けた弁護士が警察に連絡。
詐欺を行ったとして、マドフはFBIに逮捕され、
これまでのおよそ30年続いた、史上最大の大詐欺が明るみに出たのです。にたい
2009年6月 アメリカ地方裁判所は、マドフに詐欺・資金洗浄の罪で
150年の禁固刑を言い渡しました。
マドフの個人資産は
当時のマドフの資産は、100億円以上にも及んでいました。
・マンハッタンのアッパーイーストにある邸宅700万ドル(約7億円)
(64丁目とレキシントンst アパート133)
・ニューヨークロングアイランド別宅、
・フロリダのパームビーチ。
・フランスのカプダンティーブ
・銀行口座1700万ドル(17億円)
・証券4500万ドル(約45億円)
・会員権など。
これらは、すべて押収されました。
このマドフ詐欺事件で、さらなる第二波の被害が広がります。
アクセス・インターナショナル・アドバイザーズ(AIA)の創業者ド・ラ・ビルシェが、
15億ドル(約1500億円)をマドフに騙され自殺。
そして、
2010年12月、長男であるマーク(48歳)が、自宅アパートで首をつり自殺。
2014年には、次男のアンドリュー(48歳)が、悪性リンパ腫により死亡。
アンドリューの死は、マドフの事件との因果関係はわからないが、親族は、
被害者団体から、金額の返還を求める訴訟を起こされていました。
これほどまで、周りの人生まで翻弄させ、死者まで出る詐欺事件となったが
当人であるマドフは逮捕されるとー、
実は、これまで長い間、いつ詐欺がバレるか怯えながら暮らしており、
その不安から解放されたマドフは、
刑務所での暮らしを、快適に過ごしていルンだとか。
そして、マドフは刑務所の中で、マクロ経済学を研究。
この限定された社会生活で、何ができるか?
と、彼は囚人が利用する売店に注目。
この売店の中のホットチョコレートの粉を買い占めたのです。
マドフは刑務所内の秩序を配慮し、必要不可欠は生活用品は避け、
あえて嗜好品であるチョコレートに目をつけました。
すると、囚人らは、ホットチョコレートが飲みたくなっても、売店は空っぽ。必然的に、マドフの
ところに行き、高値で手に入れるしかなくなったのです。
マドフは刑務所内でホットチョコレート市場を独占することに成功しました。
この映画のよう事件が映画化されました。
被害にあったスピルバーグがメガホンを取り、主演はケビンベーコン!かと思いましたが、
それは、あまりにも彼らの怒りや心の傷が大きかったのか、それは叶わず、
監督には、「レインマン」を手がけたバリー・レヴィンソン監督、
マドフは、ロバートデニーロが演じ、妻には、ミッシェルファイファーなど豪華キャストで
映画化。
ウィザード・オブ・ライズ
<キャスト>
マドフ ロバート・デニーロ
マドフの妻 ミッシェル・ファイファー
他には、アレッサンドロ・ニヴォラ、ネイサン・ダロウ、クリステン・コノリーなど。
アメリカが震撼したこの事件は、映画だけではなく、ドラマ化にも
マドフ ウォール街を騙した怪物
マドフを演じたのは、オスカー俳優リチャード・ドレイファス
この前代未聞の大詐欺、その被害は大きく、未だ被害の中で苦悩が続いたいるものも多くいます。また一方で、この真実を題材に、新たに利益を得るがいるのも皮肉なものです。
このマドフ事件後も似たような、ポンジ詐欺は日本でも起きています。周りの信用に流されないことが大事なのでしょうね。