さて、先日息子の出生届を出しに行きました。
海外では出産から3ヶ月以内に届出を出さなければなりません。それを過ぎると出生届けは受け付けてもらえません。
私も産後2ヶ月が過ぎて、子供と近所に外出できるようになり、遠出の散歩のつもりで日本領事館へ。
出生届は、日本国内であれば14日以内、海外では3ヶ月までという猶予があります。私は海外での届出なので、まだ、あと残り1ヶ月以上もあると高を括って出かけたものの、いざ領事館で出生届を提出すると、それは、まさかのどんでん返しが待っていました。
5月に入ったばかりなのに、25度を超えるポカポカ陽気で、汗もかきながら30分の道のりを、ベビーカーを引いて領事館へ行きました。
領事館は何度か訪れていますが、ビルの入り口で、まず、身分証明の確認。領事館のフロアーに着くと、持ち物検査があります。
この日も問題なく進み、出生届の申請書用紙に記入しました。ここはいつも、日本人の係りの人がそばで書類の書き方など親切に指導してくれます。この日も出生届の申請書の書き方を、係りの人が丁寧に教えてくれました。
2枚同じものを記入し、窓口で提出、滞りなく申請終了。
窓口の人も「書類は問題なさそうですね。1ヶ月くらいで処理されますよ。何か問題があったら連絡がきますが、それはほとんど稀ですね。」との事。
まだ、午後2時半で天気も良いし、セントラルパークへ行くことにしました。
公園で休んでいると、知らない電話番号から連絡があり。
留守電メッセージになってたので聞いてみると、領事館から折り返し連絡下さいとのメッセージです。
記入漏れかと思い連絡してみると、
なんと、
「50歳以上のため、出生届けには審査が必要です。本当に自身で出産したのか、証拠の書類を提出してください。」ということでした。
こんなのは初耳だった。
そんな事あるの?と、もやもやしたまま、家に帰り、ネットで検索してみると、
50歳以上の出生届について、2014年までは審査されていたようです。
しかし、これを不快に感じる人も多く、また医療の進歩により、50歳以上で出産する人も増えたため、日本の病院で出産した場合のみ、審査が無くなり、しかし海外での出産は例外で、これまでどおり審査するとの事です。
戸籍法を見てみると、戸籍法第2節「出生」49条から59条までに、そのような年齢の記述はない。
第四九条 2 届書には、次の事項を記載しなければならない。 一 子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別 二 出生の年月日時分及び場所 三 父母の氏名及び本籍、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍 四 その他法務省令で定める事項 |
それとも、49条の四の 「その他法務省令」に後付けで定めたのか?
しかし1961年から法務局が、50歳以上は各市町村に届出の際に法務局に受理を求めるようにした。
民法や判例では、出産した人が「母」と定義されているため、誰が母かというのを戸籍の上で特定させなければならないからか、50歳以上は本当に生んだのかという証拠を見せろということなんでしょうね。
そして私は、窓口の人が言った「ほとんど稀」の中に入ってしまった。
とにかく、自分で出産したという証拠集めに取り掛かりました。
領事館の説明で、証拠となるものは、
・病院の領収書
・胎児のエコー写真
・通院履歴
審査があるため、戸籍に我が子だと反映されるまでは数ヶ月かかります。領事館から審査の連絡を受けてから、もし、認められなかったらどうしようと、眠れない夜もありました。認められなかったら、子供は、戸籍上養子になってしまう。
そんな馬鹿な話はない。その時は、国を相手に認められるまで訴訟するしかない。きっとその時には日本という国を嫌いになってしまうだろうと、悶々とした日々が続きました。
医療の進化とともに高齢での出産は増えてきています。
この制度は、1961年に、法務省が各市町村に通達したもの。57年もの間変わっていないのである。厚生労働省の人口動態統計によると、50歳以上の出産は、
2000年 6人
2003年 19人
2013年 47人
2015年 52人
と増え続けてきている。
Centers for Disease Control and Preventionの調査結果によると、イギリスでは50歳以上の出産は、2013年に700人もいるそうです。
現在日本では、自分で出産をしたら実子で、他人が自分の子供を代理出産してもらうと実子ではなくなる。たとえ夫婦のDNAを持った我が子であっても、戸籍には養子となってしまう。血族主義としながらも現実とは異なる戸籍。
2000年にタレントの向井亜紀さんが提訴したが最高裁で却下となった。今年になった今でもその法律は変わらない。
確かに、医学の進歩で50年前からすると予測不可能なことが起きていて、この先50年も予測しなかったことがあるかもしれない。日本の時代の発展に伴わない法律が、この先10年20年、50年も制度が変わらなければ、時代に遅れた法律どころか、この先国民の人権を侵害してしまうかもしれない。