ことのきっかけは、ハワイマウイ島での出来事。ある裕福ではないひとりの青年が、ウクレレを手に、カフェである歌手の曲を歌っていた。なかなかお上手な歌声。曲は、「One day」。2009年にヒットしたマティスヤフMatisyahuの曲。マティスヤフは、ラップのようなレゲエをアレンジしたレゲエアーティスト。ジューイッシュであり、曲もジューイッシュの曲調が入っているのか、どこか斬新でかっこいい曲風になっている。そして190センチを超える身長でハンサムである。私もマティスヤフは大好きなアーティストで、クリスマスコンサートを見に行ったほどである。
出典:wikipedia
その曲を、マティスヤフとは程遠い青年が、ビーサンに短パンで、いつものように1人でウクレレを弾き、マウイ島のあるカフェで歌っていた。
その歌声を聴いて、1人短パンの男性が、歌いながら近寄ってきた。その人も歌がうまい。
男性の仲間がその成り行きをビデオに収め、You tubeで配信され、話題になったのである。なぜ話題なったかというと、歌いながら近寄ってきた男性は、本人のマティスヤフだからである。モノマネそっくりショーで、よく本人が現れるかのような光景。でもこれはヤラセではなく、本当にたまたま仕事でマウイに来たマティスヤフが、偶然にもそのカフェにやって来たのである。
しかし、歌っている青年はマティスヤフ本人だと全く気付いていない。テレビやインターネットは見ないのだろうか。本人の顔を知らないなんて。まったく気づかない青年は、マティスヤフに対して、「君は歌がうまいねー」とまで言ってしまう始末。
それに対しマティスヤフは、吹き出し笑いしそうになるのをこらえ、「僕の曲だよ」と自分を指差す。そこでやっと青年がマティス本人だと気づいた。
「えーまじかよ!(ジーザス!)」と驚きと照れる青年。
その青年が気づくまでの一部始終のYou Tube 動画がこちら。
出典:Stu Brooks
テレビの演出のようにできた、でも本当話。世の中こんな偶然に本人に会ってしまうことがあるんですね。
しかし、これには、まだ続きがありました。
その後、マティスヤフはニューヨークに戻ってきたのだけれど、彼を気に入ったのか、連絡先もわからないまま、彼を捜索することに。
Facebookで知り合いに声をかけたりして、やっと青年の身元が判明。マティスヤフは、ロサンゼルスのコンサートで、青年をステージにあげ一緒に歌う計画を企てた。
歌の好きな青年が、人気の歌手に気に入られ、一緒のステージで歌う。青年はまさにスターになる切符を手に入れたのである。シンデレラストーリーですね。
One dayの偶然。
しかし、一つだけ 大きな大きな問題があった。
彼は、マウイ島から出てはいけない身分だったのです。
これは、何をしでかしたのか定かではないが、青年には執行猶予付きの刑がついていました。マティスヤフのオファーに青年の返事は当たり前だが「ノー」、行くことはできないと泣く泣く断ります。
それでもマティスヤフは諦めなかった。彼はマウイ政府に直接掛け合い、断られるもの「才能ある青年に、スターになるビッグチャンスを与えてくれ」と交渉の末、なんと裁判所から許可をもらうことができたのです。
なんとも男らしいマティスヤフ、マウイで出会った青年との素敵な友情ストーリーではないですか。小さな島で育った贅沢とは程遠かった青年に、幸福の神が舞い降りたのです。
しかし、島を出るには、ある条件がありました。
それは、指定の時間以内に戻ること。
マウイ島→ロサンジェルス
次の日、コンサートのステージに立つ
ロサンジェルス→マウイ島着
の2泊3日
弾丸シケジュールではありますが、それはやはり執行猶予の身、許された時間以内の指定便で帰らなければなりません。
マティスヤフも彼に全面協力しました。
そして、いよいよ青年はマウイを飛び立ち、コンサートも大成功に終わるのでした。
彼も一躍有名人に。
とっても良い話、過ちを犯した青年も公正して、何気ないある日One dayをきっかけに、スターの仲間入りになるという、このシンデレラストーリー。
と思っていた。
しかし
どんでん返しが、
馬鹿なことに、彼は時間にだらしがなくルーズな性格なのか、指定された便に乗らなかったのです。
次の便でマウイに戻ったものの、その後、彼を待っていたのは、堀の中でした。(その理由は指定便に乗らず遅刻して帰ったこと、その他にも色々あったようです。)
執行猶予中は、刑罰を受けているの同じです。元の犯した犯罪がどのようなものかわかりませんが、けしからぬ行為をしたので自業自得です。相手がいる犯罪だったらなおもっと許せないでしょう。残念ですが、不埒な男の不始末に終わったストーリーとなってしまいました。テレビの演出のような素敵な物語は、やはり作り物でテレビの世界だけ?なのでしょうか。物語の結末は、プラチナチケットを自ら手放し馬車に乗らなかった、情けない悲しい現実でThe end。