犯罪だらけの童話
昔から私たちが、子供時代に馴染んで読んでいた有名な童話、
当時は、
「正義感あふれた、悪者と戦う戦う主人公」
「危機を脱した勇敢な主人公」
と思っていましたが、大人になって読み返してみると、
法を破り、罪を犯しているではありませんか?
中には、かなり凶悪なものもあり、数々の犯罪がまぎれる有名な童話に驚きました。
悪者(鬼など)を退治→読み返すと、本当に悪者かわからない者への暴行や強奪。
時には、報復という名の殺害まで犯している
こんな、物語の中に、暴力・犯罪だらけの内容を、果たして子供に読み聞かせて良いものか。
リベンジという名の凶悪な犯罪
大人になって、童話を読み返してみると、怖いくらい悪質な犯罪の物語がいくつかあるのに驚きます。
成敗する、今でいうリベンジという名目を盾にした、実に凶悪な犯罪、中でも恐ろしいと感じたのは、日本の童話
「かちかち山」ではなかろうか。
かちかち山
<簡単なあらすじから見る犯罪> 赤文字は推測される犯罪名
たぬきが畑の食べあらして業を煮やしたお爺さんは、たぬきを捕まえます。
→たぬきは野生動物なので犯罪ではないが、他人のペットの場合は窃盗罪。
捕まえたタヌキを、お爺さんはタヌキ汁にするようにお婆さんに言います。
たぬきは、お婆さんに懇願し、縄をといてもらうと、お婆さんをなぐり殺し、お婆さんを鍋に入れ、ばばぁ汁にします。そしてお婆さんに化けて、おじいさんに食べさせる。
→たぬきは、お婆さんを殺害 殺人罪
お爺さんは、たぬきの悪事をうさぎに相談すると、うさぎは、たぬきに、良い金儲けががあるとかちかち山まで柴刈りに誘い出し、うさぎは火打ち石で、たぬきの背中の柴に火をつける。たぬきが火打ち石の音がしたので、たぬきがうさぎに尋ねると、うさぎは、「それはカチカチ山だから、カチカチと鳥が鳴いているんだよ」と騙し、たぬきは背中に大やけどを負う。
→うさぎは、傷害罪 または 殺人未遂
追い打ちに、火傷に効く薬だといい、唐辛子の入りの味噌を背中に塗る。
→うさぎは、傷害罪
火傷が治った頃に、今度は、漁に行こうとたぬきを誘い出す。木の船と泥で固めた船を用意し、たぬきに選ばせると、欲張りなたぬきは、大きな泥の船を選ぶ。沖に出ると、たぬきの泥の船はどんどん溶けて沈んでいく。うさぎに助けを求めるものの、うさぎは、櫓(パドル)でたぬきを突き沈めて、たぬきは溺れ死ぬ。うさぎは、リベンジに成功。
→うさぎは、用意周到に行った殺人罪
そもそも、たぬきは動物で、人間の法律の刑法にかかる対象ではないが、読み手の子供たちが、言葉を話す動物を、人と対等として読んで捉えている以上、動物が犯した犯罪も同様に、子供への影響があるのではなかろうか。
海外の物語で、凶悪な犯罪が見えるのは、
ジャックと豆の木
<簡単なあらすじから見る犯罪>
ジャックはお母さんと暮らしていました。ある日、お母さんが生活費に充てるため、ジャックに、「この牝牛を売ってきておくれ」と言います。
しかし、ジャックは、途中で出会ったある男から牝牛と豆を交換してしまいます。
家に帰るとお母さんは怒って、豆を庭に投げ捨てました。
翌朝、豆は芽を出し、雲を突き抜け、大きな大木となっていました。
ジャックは、その豆の木に登り、雲の上までたどり着くと、そこには巨人が住んでいました。するとジャックに気づいた巨人の妻が、巨人は、凶暴で人も食べてしまうので、早く逃げなさいと言います。
なんと、ジャックは、酒に酔って居眠りしている間に、巨人の家から金の卵を産む鶏を奪って、家に戻るのでした。
→ジャックの住居侵入罪は他罪に吸収され、窃盗罪
これに味をしめた、ジャックは、また雲の上の巨人の家に行き、今度は、ハーブを盗もうとするのです。その時、ハープが喋べりだし、気づいた巨人はジャックを追いかけます。
ジャックはハープを奪取したまま、豆の木から地上に降り、急いで豆の木を斧で切り落とします。豆の木から降りようと追いかけてきた巨人は落下して死んでしまいます。
→ジャックは、窃盗罪と殺人罪 または、強盗殺人罪
宝を手に入れたジャックは、お母さんと幸せに暮らしました。
巨人は人を喰うと言われているが、実際にジャックには何もしていませんし、妻が人食いと言っただけで証拠もなく嘘かもしれません。
そして、巨人が寝ている間に、2度も盗みを働く常習犯。
挙げ句の果てには、殺人まで犯します。
実際に、ジャックが15歳以下だった場合は、刑事責任はありませんが、殺したことも、宝を盗んだことも、お咎めも無く、幸せに暮らすという内容は、到底、子供に聞かせられるものはありません。
もし、ジャックと豆の木を子供に読み聞かせしてしまったら?
物語の最後に、ストーリーを付け加えて読んでみる。
やってはいけない事。悪い事をしたら、どうなるかも話す。
<付け加えるストーリー>
その後、大男が死んだ事を知った、大男の妻と子供たちは、突然の出来事に酷く悲しみました。
ジャックの盗みと殺人は、直ぐに警察に見つかり、捕まります。
ジャックは強盗殺人罪、 お母さんは凶犯罪または、幇助材
悪いことをしたジャックは、雲の上の冷たい牢屋に入りました。
なんて自分は愚かだったのだろうと気づき、 自分の欲につられてとんでもない事をしてしまった、と深く後悔しました。
しかし、たとえジャックが詫びて謝っても、死んだ大男が帰ってくるわけでもなく、家族の悲しみは変わりません。
ジャックは、一生をかけて償い続けるのでした。
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その他の童話で、考えられる犯罪は?
<日本の童話> |
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かちかち山 | リベンジによる暴行 | 傷害罪、殺人罪 |
桃太郎 | 鬼を懲らしめる | 傷害罪 |
サルカニ合戦 | リベンジによる集団暴行 | 傷害罪 |
はなさかじじい | 隣人のペットを殺す | 器物損壊罪 |
一寸法師 | 自ら鬼のお腹に入り刀で胃の中を刺し、鬼の忘れ物を奪取 | 傷害罪、窃盗罪 |
<海外の童話> |
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ジャックと豆の木 | 巨人の宝を奪取し殺害 | 強盗殺人罪 |
アラジンと魔法のランプ | 男のランプを奪取 | 窃盗罪 |
<グリム童話> |
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ヘンゼルとグレーテル | 子供を捨てる | 児童虐待 |
魔女 | 監禁罪 | |
グレーテルが魔女を殺す | 正当防衛で無罪 | |
財宝を持ち帰ったヘンゼルとグレーテル | 窃盗罪 | |
赤ずきん | 狼 | 殺人未遂罪 |
猟師 | 緊急避難で無罪 |