ニューヨークシティのストリートには、国際色豊かなフードトラックなどのベンダー達が立ち並び、ニューヨークらしい街並みが伺えます。 出典トップ画像The Cinnamon Snail
ホットドッグベンダー、プリッツェル、ドリンクワゴン、フルーツスタンドなど、また、飲食以外にも、フラワーベンダー、Tシャツベンダー、ストリートアーティスト、など、全てを含めると、およそ20,000ものベンダーたちが存在します。
しかし、このベンダーとして街で販売するにはライセンスが必要、その数も概ね上限が決まっているため、新たにライセンスを取得するのは数年待ちとなり、なかなか新規参入の難しい世界。
中でも、今回注目したいのが、フードベンダーたち。
昔からあるホットドックカートから、高級フードトラックまで、ニューヨークの街をにぎわせています。
面白いのが、これらの特徴は、主に民族別に、仕切られている傾向があります。
フルーツスタンドは
コーヒーカートは、アフガニスタン人
フルーツスタンドは、バングラディッシュ人
ホットドックカートは、バングラディッシュ人
アップタウンホットドックは、ドミニカ共和国人
フルーツスムージーは、ベトナム人
このフードカート、トラックになっているのもあれば、タイヤのみが付いていて車で牽引できるものもあり、営業を終えると移動します。
自宅に持ち帰る?と思ったら、実は、
このカートのほとんどが、ミッドタウンウエストにある、駐車場に停めているようです。しかし、駐車代は300ドル以上。
やはり、屋外で売られているものは、衛生上問題がないか気になります。
ニューヨークシティは、少なくとも、1年に1回以上、保健局の検査が行われます。
適切な温度で調理しているか、または、カートのきちんと清掃されているかなど、抜き打ちチェックがあるため、ベンダーたちは、毎日、カートの洗車をしています。
カートを専門の駐車場に停める理由の一つとしては洗車機があるといこと。この衛生局の検査をパスできなかった場合、罰金1000ドルが科せられます。
食材について、品質の規定はありません。ですが、ほとんどの業者は、同じ卸業者から仕入れていて、またこれらの食材は、一般のスーパーマーケットにも卸されています。特に肉製品やホットドックは、スーパーで販売されている黄色とブルーのカラーでおなじみの「サブレット」製品を使用。
サブレットの本社はニュージャージーにあり、ほとんどがニューヨーク市出荷しているため、ホットドックカートといえば、ブルーとイエローカラーのサブレットと言うイメージがある人も多いはず。
ちなみにニューヨークの店頭ホットドックやソーセージは、地元のネイサンズ(Nathan’s)が人気があり、場所によっては、ネイサンズカートがいることも。ネイサンズは、緑と黄色のカラー。
フードの種類や、場所によってコストや売り上げが異なります。
まずは、許可登録料、駐車場代、輸送費、材料費など諸経費など、売り上げの半分を占めます。
また、ニューヨークの真冬の時期は、極寒。屋外での販売は非常に厳しいです。0度以下の気温では、屋外で数時間も立つことも辛く、フルーツやフラワーは凍ることも。
反対に、夏の時期は、早く商品が痛むため、コストが増す可能性があります。そのため、1ヶ月の純利益が3000ドル以上あっても、1年通しての販売ができず、年間の200万ほどのベンダーも多くいます。
また、販売するときの道路規制に違反すると、罰金が1000ドル科せられることもあるので、もし、うっかり規制違反になってしまうと、1つ2ドルでホットドックを売ってる彼らにとっては、大きな損失になります。
話は逸れますが、このホットドック、場所によって値段が変わるので注意を。通常のストリートなどは2ドルが主流ですが、場所によって3ドル、イベント会場の入り口などは‘4ドルをとることもあるので、倍ほどの価格の変動があります。
フードベンダーから人気を得て、成功した例もあります。
新規参入は難しいとはいえ、独自のレシピや、こだわりで、他のベンダーとは異なったベンダーが
シナモンスネイル The Cinnamon Snail
2010年にスタートした、ヴィーガンスタイルのフードトラック「シナモンスネイル」
当時はヴィーガン料理の先駆けでもあり、良いものに敏感のニューヨーカーたちには瞬く間に人気。
ランチタイムには、1時間も並ぶ長蛇の列。それでも、シナモンスネイルのバーガーが食べたいというくらい、数年渡り人気のフードトラック。ヴィーガンながらも味も美味しい。
なんと、Yelpでは、他のミシュラン星のレストランさえも抑えて、フードトラックながら、異例の上位常連でもありました。
ところが、
ストリート販売のライセンスが切れてしまい、リピーターたちから惜しまれながら、
2015年2月閉店となりました。
こんなに人気でも、ライセンス許可がなければ営業できない。
新規ライセンスの許可が取れるのは、10年以上待ちになるそう。
その後、
2016年に実店舗として、見事復活を遂げました。
ミッドタウン34stにあるペンステーション駅の脇のフードホール「ベンジー」内で営業しています。
この復活は、例えると、人気真っ只中にもかかわらず、反対勢力により引退させられたが、奇跡にも復活を成し遂げたというストーリーか、やっぱり復活劇が大好きなアメリカの人たち。
でも、人気の理由として大事なのが、やはり、コンセプトと味。
あれだけ人気だと、シナモンスネイルに投資したいニューヨーカーもいたのかもしれません、
シナモンスネイルでは、ヴィーガンスタイルのハンバーガーから、グリテンフリーのドーナッツまで、このこだわったメニューには、キムチやセイタン、テンペを使うなど、他国多彩の食材の面白さに加え、美味しいといのも、支持されている理由一つです。
- 新規参入の許可を得るのは、すぐには無理、10年以上待つ可能性あり。
- そのため闇ルートが存在しているようだが、高値で又貸しされるため、コストが上がり儲かる仕組みではない。
- ライセンス許可の上限が決まっているため、昔から商売をしている民族別に分かれている傾向にあり。
- 冬は厳しい。
- 駐車場などコストはかかるが、他のベンダーと違う料理や、ニューヨーカーの求めるものにこだわれば、人気のカートになり成功する可能性も。